「定着管理」のために行いたい就労条件の整備

1 はじめに

人材確保のためには、採用活動を工夫するだけではなく、就労条件の改善をもとに、労働条件、労働環境、人間関係、福利厚生を見直し、「定着管理」の対策を講じることも重要です。
ここでは、人材不足リスクを解消するための就労条件改善のポイントを、取組みを交えながらご紹介します。

2 労働条件の整備

「就業規則や給与規定に不満」があったり「働き方や労働条件が適切でなかったり」すると、従業員の離職率が高くなってしまいます。会社の労働条件が適切に整備されているか、一度見直してみましょう。


●納得のいく給与体系

「採用管理」「定着管理」を進めるにあたり、給与体系は重要です。賃金水準は、相場や業務負荷なども考慮して、納得できる金額にする必要があります。

取組み事例としては、「固定給や歩合など、個人の希望を活かした給与体系への移行を検討する」というものがあります。収入の安定性を重視したい社員には固定給を高く、収入額を重視したい社員には結果を出すほど収入につながる歩合制を導入し、自分自身で好きなほうを選択する見直しを行いました。このように、従業員のニーズに応じた給与体系を検討することが有効です。


●労働時間の見直し

長時間労働は、定着率を低下させる原因となります。業務の効率化を進めながら、労働時間の短縮に取り組むことが大切です。取組み事例としては、次のようなものがあります。

  • 労働時間の自己申告制を廃止し、残業の事前申請制や労働時間承認制などを導入することで労務管理をした
  • 残業時間削減の目標を設定して業務効率化や業務分散を行い、併せて定額残業代制度を導入した


●休暇取得のしやすさ

定着率向上のためには、休暇を取得しやすい職場であることも求められます。休暇取得の促進に関する取組みとしては、次のような事例があります。

  • 誕生日や結婚記念日などに、特別休暇を付与する
  • 半休制度を導入する

3 良好な人間関係が築ける労働環境作りの整備

「女性が働きにくい環境である」「上司と部下の信頼関係が構築しにくい職場環境である」や「管理者の指導がきびしすぎる」などの課題があると、離職の大きな原因となってしまいます。労働環境が従業員にとって適切なものとなっているか、見直してみましょう。


●従業員の希望条件やニーズに合わせた制度を導入

従業員の希望条件やニーズに応じて、多様な働き方が可能となる制度や、休職・復職制度を導入する企業が増えています。従業員が会社を辞めずに、長期的に働くことのできる労働環境を用意することが重要です。

取組み事例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 短時間正社員制度を整備する
  • 非正規雇用労働者の正社員への転換を推進する
  • 定年制度および定年後再雇用制度を整備し、長く働き続けられる環境を用意する


●管理者に対する部下との関係に関する指導

管理者には、部下の「職場の悩み」を解決したり、適切に指導して能力とモチベーションを引き出したりできるよう、信頼関係を構築する必要があります。そのためには、適切なコミュニケーションをとることが求められます。具体的には、以下のような対策が挙げられます。

  • 部下から上司の評価をヒアリングし、上司にはそれを踏まえて部下との信頼関係を築くための指導を行う
  • 上司に外部の管理職研修を受講させる


●福利厚生の整備

競合他社よりも福利厚生が不十分であったり、定着に必要な制度や手当が不足したりしていても、離職のリスクが高くなります。定着率を高めるためにも、福利厚生の内容も見直してみましょう。福利厚生を充実させるにあたっては、次のような取組み事例があります。

  • 会社の近くに賃貸物件を借りる社員には、家賃補助を支給する
  • 人間ドックの費用負担制度などを導入する

4 おわりに

厚生労働省は、働き方改革の実現に向けて労働条件に関する相談機関の紹介のほか、最低賃金の引き上げに向けた中小企業や小規模事業者に対する生産性向上の支援、長時間労働の是正、ダイバーシティの推進といった取組みを行っています。
人材確保を目的とした就労条件の見直しと改善にあたって、政府の取組みを参考にしたり、支援制度を活用したりしていくことで、応募者が集まる魅力的な企業にすることができるでしょう。

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