風災被害による賠償事例と対応策とは

1 はじめに

近年、台風が毎年のように日本に上陸し、多くの風水災被害が報告されています。
気象庁のデータによると、毎年2個から3個以上の台風が、大雨、暴風等の災害をもたらしています。

参照:気象庁ホームページ「災害をもたらした気象事例(平成元年~本年)

台風は、ひとたび上陸すると企業経営にも大きな影響を及ぼすことがある一方で、ほぼ毎年日本に上陸するという意味で、ある程度は予測可能な自然災害です。
そのため、企業としては、平常時から準備・対策を怠らず、台風への対応計画を策定しておくことが大切です。
台風対策は、大きく分類すると、風災(主に強風・飛来物による破損等)の対策と、水災(浸水・土砂災害等)の対策とに分かれます。
読者の皆様においては、風災への備え、水災への備え、そして風水害による事業中断への備えは十分にできていますか?
本コラムでは、このうち風災対策について解説します。

2 風災被害の実例

風災被害としては、直接的な損害として、例えば、建物や機械等の破損や、従業員の怪我、さらには第三者である通行人を怪我させたときや第三者の物を破損させたときの賠償費用などが考えられます。
賠償を認めた裁判例としては、次のようなケースがあります。

  • 強風により温室のガラスが破損して,その破片が隣人の所有する自動車を毀損した事案で、温室の所有者に対し、約150万円の損害賠償責任を認めたケース(東京地裁平成25年 5月24日判決)
  • 台風で飛散落下した屋根瓦が隣家の建物を損傷した事案で、建物所有者に対し、約12万円の損害賠償責任を認めたケース(福岡高裁昭和55年7月31日判決)

さらに、風災により事業が中断した場合の間接的な損害として、売上の減少や、事業の中断期間にも支払わなければならない人件費等も検討しなければなりません。

3 求められる風災対策

それでは、風災対策として、企業にはどのような対策が求められるのでしょうか。
対策としては、例えば、下記のチェックリスト例に挙げたような対応が考えられます。

【風災対策のチェックリスト例】

屋根・外壁・ドア等の状態(腐食やひび割れ、錆、損傷、留め具の緩み・欠損など)を確認し、必要に応じて取り換え・修繕を行いましたか?
建物・設備に接近する樹木を伐採・補強しましたか?
窓ガラスに複層または合わせガラス等を使用(または飛散防止フィルムの貼付)し、間柱・小梁などにより窓枠周りを補強しましたか?
中柱設置によるシャッターの二面化、重量のあるシャッターへの交換を行いましたか?
スレート、鉄板等の外装材の留め金具を増設しましたか?
台風接近時には、窓やシャッターを確実に閉め、屋外設置物を固定・固縛し、小さな物品や機器などを屋内に移動しましたか?

4 終わりに

冒頭で記載しましたとおり、風災は、ある程度予測が可能な自然災害といえます。
そのため、特に緊急時の行動基準・対応マニュアルにおいては、気象情報を前提に、ピーク時から逆算して、「いつの時点までに」「誰が」「何を」実施するのか、あらかじめ具体的に定めておくことが重要です。
また、台風のような自然災害では、風災だけでなく、水災への対策や、風水害による事業中断への備えも重要です。

水災対策等については、同日付で配信されるもう一つのコラムも併せてご確認ください。

(このコラムの内容は、平成30 年4月現在の法令等を前提にしております)。

(執筆)五常総合法律事務所 弁護士 数藤 雅彦

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