2020年に義務付けられるHACCP(ハサップ)とは?

飲食店の経営にはいくつかのリスクがありますが、提供する食品の安心と安全は最優先課題といえるでしょう。こういった課題に対し経営としてどのような対策を打つべきか、ポイントを挙げて紹介します。今回は、飲食店にとって課題ともいえる衛生管理システム「HACCP(ハサップ)」について解説します。

食の安心・安全への取組みとは?

1 はじめに

飲食店の経営にはさまざまなリスクがありますが、特に衛生面と資金面に関する課題は重要です。経営者としては、できる限りのリスクヘッジを行って、お客様はもちろん、従業員も安心できるサービスの提供と健全な経営を目指すことになります。

そこで今回は、実際に飲食店を経営している方やこれから出店を考えている方に向けて、衛生面をクリアにするための方法やすぐに取り組むことが可能な収益向上の方法についてご紹介します。

 2 食の安心・安全に関するリスクと対策

飲食店の経営において重要とされるもののひとつに「衛生管理」が挙げられます。万が一、提供した飲食物や容器に問題があって食中毒が発生したり、提供した飲食物に異物が混入したというようなことになれば、お客様の健康を損なうだけでなく、営業停止等による機会損失が考えられます。また、口コミやネット上での風評といった間接的な損害を受けることにもなります。それまで堅調に経営できていたとしても、安心・安全に関する問題が発生すると、一気に経営危機に陥ることも考えられるのです。

そのため、店員の教育や食材の管理など、衛生に対する意識を高めることがとても重要です。しかし、経営者個人や従業員の努力だけでは、問題が起きないとはいえないでしょう。そこで生まれたのが、「HACCP(ハサップ)」のような衛生管理の取組みです。こういった取組みに積極的に参加することで、食の安心・安全に関するリスクを大きく軽減させることができます。

 

HACCPとは?

 

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)は、食品衛生管理システムのひとつで、アメリカで始まり今では、世界的に導入が進められています。

原材料の入荷から製品の出荷まで、工程ごとに危害分析を行い、食中毒菌や異物混入などの危害要因を把握したうえで、その危害要因を除去、または低減させるための特に重要な工程を特定して、そこを重点的に管理することで、危害の発生を未然に防ぐシステムです。日本においても、2020年に向けて、HACCPに沿った衛生管理が制度化される予定となっており、事業者規模に関わらず、すべての食品等事業者が対象となるこの制度は、中小規模事業者にとって大きな課題とされています。

 

参考:厚生労働省HP 「HACCP(ハサップ)」

HACCPの導入状況は?

AIG損保が実施した、「中小規模の飲食店経営者・責任者へのHACCPに関する調査」では、HACCP導入の取組みを積極的に進めている飲食店は、回答200に対して1割未満(7.5%)となり、4店舗中3店舗(73.5%)の飲食店が取組みを本格化していく必要がある、という回答がありました。

HACCPの制度化

6月に、通常国会で成立した改正食品衛生法により、2020年には、原則として、すべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が義務付けられる予定となっています。

改正食品衛生法を受けて、AIG損保では、中小規模の食品等事業者のHACCPシステム導入に向けた取組みを、サポートするサービスを開始しました。HACCPの考え方に基づいた自社の衛生管理体制の現状を、客観的に確認することができる簡易診断ツールを、委託代理店を通じて無償で提供していますので、こういったサービスを活用するのも一つの方法でしょう。

また、HACCPを導入している企業は、HACCP導入によるメリットとして、次のようなことを挙げています。

 

・製品の品質と安全性の向上につながる

・企業や店舗への信頼・イメージアップにつながる

・従業員の意識が向上する

 

3 収益向上に向けての取組み 

販路の拡大や新規顧客の獲得は、収益向上につながる重要なポイントになります。そのための取組みとして、さきほどご紹介したHACCPによる衛生管理に加えて、飲食店が実践しやすいのは以下の3点を改善することです。

・商品メニューの工夫

・接客サービスの向上

・広告・宣伝活動の強化

そのためには、お店や地域ごとの特色の打ち出しや、顧客サービスの拡充、商品の付加価値アップ、質の高い商品(メニュー)の提供などは欠かせません。このとき、実際に来店したお客様に直接意見を求めることも大切ですが、インターネットを活用して消費者のニーズや情報を収集・分析することで、広い視点から改善のポイントを見つけることができます。また、人材や設備を効率的に活用するための方策を打ち出したり、お店の情報を発信したりする広告手段の開発なども重要です。

ただ、どのような改善を行うにしても、忘れてはならないのが「消費者目線を第一」にすることです。せっかくの取組みも、お客様に喜んでもらえなければ意味がありません。考案した改善案は、何度も(できれば別視点も入れて)見直して、経営者都合にならないように気を付けましょう。

5 おわりに

 衛生面の管理や事故予防など、さまざまなリスクを抱える飲食店経営。安心して口にできる商品と店舗への信頼度が、そのまま収益の向上につながるため、大きなやりがいがあるでしょう。

リスクへの対策を怠ることなく、お客様や従業員の安心と安全を確保することが大切です。より喜ばれる商品やサービスの提供に努め、より多くのお客様に満足感を与えつつ、商店街イベントへの参加や職場体験学習の受け入れ、子供食堂の実施といった地域社会にも貢献する飲食店経営を目指してはいかがでしょうか。

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